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近年、有機ELや太陽電池に関する報道を毎日のように見かけます。有機ELは、2007年に我が国の企業が11インチ型テレビを販売したことで、一気に注目を浴びました。この内、フレキシブルディスプレイは、落しても壊れない、巻取りが可能なので持ち運びに便利といった特長を生かし、ロールスクリーンタイプの壁掛けテレビ、完全に丸めることのできるローラブル・ディスプレイ等に応用される可能性があります。また、曲面を活かしたスタイリッシュ照明、自動車用インストゥルメントパネル等や、さらに最近では、蛍光灯に代わる水銀フリーで低コストな一般照明用途としての検討も進められております。

また、近年、大気汚染や地球温暖化などの環境問題や化石燃料の枯渇化を背景に、省資源でクリーンなエネルギー源として太陽電池が注目されております。ここで、太陽電池は光から電気エネルギーへの変換であり、有機ELは電気エネルギーから光への変換であることより、ちょうど太陽電池と有機ELは逆の機能をもつデバイスということができます。また、軽量でフレキシブルな太陽電池は、カーテン、ブラインドなどのインテリアへの応用や、鞄やリュックあるいは衣服に取り付けてモバイルIT機器の補助電源として利用するなど幅広い用途にもつながると期待されております。

この様に、有機ELや太陽電池では、フレキシブル化、薄型化、軽量化等が求められ、ガラスからプラスチックへの基板の代替検討が進められております。特に、デバイスとしての寿命の面で、プラスチック基板へのバリア性の付与は極めて重要な課題であります。ところが、エレクトロニクス用途が要請するような性能を満たすフィルムは、酸素や水蒸気のバリア性評価が難しく、標準技術として確立されたものはありません。また、測定精度の保証のための基準となる標準フィルムもありません。規格が先か標準試料が先かの結論が出されるまで待てない状況であり、バリア材料開発の研究者・技術者は統一された評価方法と基準試料の無い中、各者がそれぞれの工夫をこらして性能評価を行っているのが現状であります。

これまで、材料のバリア性評価の検討は、食品包装フィルムの分野で主に行われてきました。食品の保存を目的としたバリア性は、包装材としては非常に重要な要素技術であり、酸素のバリア性が、酸化による内容食品の味や風味の劣化抑制に、水蒸気のバリア性が内容量の減量防止など食品の保存期間延長に役立ってきました。しかし、有機ELや太陽電池で必要とされるバリア性は、食品包装分野で求められるバリア度よりも数桁厳しいとされており、従来と違った視点でのハイバリア性に関する基礎科学と応用技術の構築が求められるようになりました。逆に、これらが従来の食品、医薬品やエレクトロニクス部材等の包装分野の新しい展開の可能性を広げる相乗効果ももたらしております。

さらに、有機ELや太陽電池等のデバイス全体として見た場合、フィルム基板だけでなく封止材にも同レベルのバリア性が要求されております。この基礎科学と応用技術は、フィルムの場合と密接に関係するものであり、バリア部材を扱う関係者の連携が求められます。

昨今の国際規格化競争は、その後の商品開発に大きな影響を与えることは周知の事実であります。この点で、米国、EUおよびアジア諸国に遅れを取った場合、生産技術を支えるべき基盤科学技術においても世界は日本を必要としない時がやがてやって来ることでしょう。 このような状況を打開するために、研究者・技術者が個々の小さな利害にこだわらず、オールジャパン体制で協力する必要があると考えます。

バリア科学および技術に当たる研究者・技術者は、学問分野では、高分子化学、有機化学、無機化学、物理化学、分析化学、化学工学、計算科学、物理学、電気電子工学等まで、また産業においても化学産業だけでなく、エレクトロニクス産業、オプティカル産業、包装産業、素材産業、フィルム加工産業、成膜装置産業、評価装置産業等にまで広がっております。すなわち、科学技術の学問分野や産業分野の区分にとらわれない融合も必要になってきました。

我が国におけるバリアに関する科学および技術の基礎的研究およびその実際的応用開発が持続的かつ高度なレベルを維持していくには、当事者である研究者・技術者の意識や意欲を高揚させるとともに、企業経営者や研究指導層の認識も高めることが必要であります。そして産官学の研究者・技術者が、バリアに関する科学および技術に関する課題について強い意識を共有し、日本の将来を左右する時代に携わっているという高い志を持つことができる状況を作ることが重要であります。

このような観点から、バリアに関する科学および技術の基礎的研究およびその実際的応用の進歩をはかり、もって学術文化の発展に資することの必要性を認識し、2008年8月産官学の有志により任意団体としてバリア研究会が設立され、2010年7月には一般社団法人化にまで至りました。つきましては、本会の趣旨にご賛同いただき、ご協力くださいますよう宜しくお願い申し上げます。

 
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